株式会社アプリボットでは全プロジェクト横断組織「技術統括本部」を新設しました。本インタビューでは、技術統括本部本部長の大洞と副本部長の伊藤より、技術統括本部の設立背景や目的、今後の展望について話を聞きました。
<プロフィール>
大洞 祥太(Shota Obora)
2018年サイバーエージェント新卒入社。 アプリボットに配属後、Unityエンジニアとして「BLADE XLORDーブレイドエクスロードー」や「NieR Re[in]carnation(※)」などで新規開発から運用までを経験。直近では運用中スマートフォンゲームタイトルにて開発責任者を担当し、リリースとヒットに貢献。2025年からはアプリボットの執行役員としてエンジニアやPM、QAなど開発に関わる組織づくりに従事。他にもゲーム事業部のエンジニアボードメンバーとして他子会社プロダクトの開発品質の向上や推進のサポートを担っている。
※開発:アプリボット、企画・制作:スクウェア・エニックスによるスマートフォン用ゲームアプリ。現在はサービス終了。
車輪の再発明を防ぎ、組織の生産性を向上させる
———今回新設された「技術統括本部」とは、どのような組織なのでしょうか。
技術統括本部は、アプリボットに存在する複数の技術横断組織をまとめ、社内のプロジェクトを横断して技術的な課題解決を行うための組織です。事業の成長に伴って開発ライン数が増加してきたことを受け、横断だから出来ることが増えてきているのではないか?と社長の浮田に相談したことがきっかけで設立されました。
プロジェクトごとに個別最適で開発を進めていると、どうしても各プロジェクトが似たような機能やツールをゼロからつくってしまう、いわゆる「車輪の再発明」が起きやすくなります。 技術統括本部を設立した最大の目的は、こうした無駄が生じる状況を組織として構造的に是正していくことです。共通で使えるものをつくることで、開発のライン数が増えれば増えるほど社内全体へのプラスの影響が大きくなります。プロジェクトを横断する組織を運営するには相応のコストを投じる必要がありますが、同時に開発スピードの向上など会社全体が受けるメリットも増していきます。
これまでもエンジニアの横断的な活動は数多くありましたが、今回組織として改めて形にすることで「会社として各プロジェクトの開発のみならず、共通技術の強化に本気で力を入れていく」という強い意思表示をしたかったという想いもあります。
———技術統括本部の傘下には既存の組織が2つ、そして新たに2つの組織が置かれるとのことですが、既存の組織にはそれぞれどのような役割がありますか?
現在アプリボットには既存の組織として『LDX』と『SRE』の2つが存在しています。『LDX』は「Lead Developer Experience」の略称で、その名の通り開発者体験(DX)をリードしていく組織です。 具体的には、すべてのゲームに必要な「課金処理」などをライブラリ化して品質の担保や車輪の再開発の抑制を行ったり、ビルド環境の構築・整備を行ったりと、開発者がより開発に集中できるような環境づくりを担っています。
『SRE』は「Site Reliability Engineering」の略称で、サービスの信頼性を高める役割を担っています。特徴的なのは「Embedded SRE」という体制をとっている点です。SRE組織としてプロジェクトを外部から支援するのではなく、SREメンバーがプロジェクトの一員としてチームに入り込み、新規の設計段階から負荷試験、そしてリリース後の運用まで一気通貫で伴走しています。
———新設された2つの組織の役割についても教えて下さい。
今回新たに設立したのは『VOXEL』と『技術革新室』の2つです。『VOXEL』はグラフィック領域の横断組織で、アプリボットの全プロジェクトのグラフィックを支えながら、その共通基盤の実装などを推進する組織です。現在、アプリボットでは新規から運用まで開発中のタイトルが大幅に増加しています。それぞれのプロジェクトで個別にグラフィック開発を進めるのではなく、集約連携することで効率的かつ一定以上の高い品質を安定して提供できる体制を目指しています。
『技術革新室』は、プロジェクトの業務効率化に繋がることをプロジェクトニーズに応じて実現していく組織を目指しています。QAの効率化と自動化、シナリオ作成ツールやレベルデザイン調整ツールの作成などを担うことで、プロジェクトのエンジニアメンバーがモノづくりに集中できる環境をつくることを目的としています。また、特定のプロジェクトのために技術革新室で作成したものを、さらに他のプロジェクトでも展開できるように整備も行うことも重要な業務のひとつです。
技術で組織を成長させる、立ち上げフェーズの挑戦
———技術統括本部として実現したい、中長期的なビジョンを教えてください。
「横断組織だからこそできること」を軸に、アプリボット全体の開発においてプロジェクトメンバーがよりモノづくりに集中できるよう基盤開発や効率化の推進を行っていきたいと考えています。アプリボットは「世界を震撼させるサービスをつくる」「最高のモノづくり集団を目指す」というビジョンを掲げており、このビジョンを実現させるべく、技術で支え、貢献できるような組織を目指しています。
加えて、シンプルに技術統括本部を「イケてる組織」にしていきたいという思いも強いですね。 常に新しい技術をキャッチアップし続けて、新しく得た知見をただ個人のものだけにするのではなく、「技術資産」として蓄積し、組織へ還元していく。 こうした技術知見の体系化と組織への活用展開を通じて、社内外から「技術統括本部で働きたい」と思ってもらえるようなイケてる=魅力的な組織にしていきたいです。
———長期戦略の実現に向けて、現時点で展開すべき具体的なアクションプランがあれば教えてください。
現在は組織の立ち上げフェーズですので、まずは仲間を集めて組織の地盤をつくることに取り組んでいます。また既存の組織を統合していることもあり、既存組織についてはより連携を強化し、シナジーを生み出せるようなアクションを計画しています。
現在アプリボットでは運用中タイトルの他に新規プロジェクトも含めてプロジェクト数がとても増加しており、やれること、やりたいことが非常に多い状態ですが、一番の課題はビジョンを実現するための仲間が不足していることです。まずは「プロジェクトからの信頼を獲得し、技術統括本部を頼ってもらえる状態」をつくっていく必要があると思っています。アプリボットは企業文化としても横軸組織の活動を推奨しており、技術統括本部として非常に動きやすい環境ではありますが、まずは実績を積み重ね、プロジェクトからの信頼を獲得し「技術統括本部の活動にジョインしたい」と思ってくれるエンジニアを増やしていきたいです。
———現在すでに進めている取り組みはありますか?
まずは「ドキュメントの蓄積」の取り組みから着手しています。単にドキュメントを書いて終わりではなく、後から参照しやすいような「構造決め」を行い、ドキュメントを書くための構造を定着させるための「文化形成」まで行っていきたいです。そして、蓄積されたドキュメントを用いた「ドキュメントベースでのコミュニケーション」を増やしていきます。これによって非同期で進められる業務を増やしながらメンバー同士が顔を合わせる「同期的な時間」も確保する。 このドキュメントの蓄積により生まれた同期的な時間を活用して、より密な知見共有を行ったり、技術的な議論を深めたりと、組織内のコミュニケーションをさらに活性化させていきたいですね。
技術領域を自ら広げ、組織づくりにも取り組める環境
———仲間集めを進めていきたいとのことですが、新たな仲間に期待することは何ですか?
現状、LDXやSREといったチーム構成にはなっていますが、その「チームの境目」を積極的に越えていけるような方と一緒に働きたいですね。ゲームドメインはひとつのタイトルをつくり上げるために必要なスキルの幅が非常に広いです。そのため、エンジニア一人ひとりの「スキルの幅」が重要になってきます。「自分はSREだから、SREの領域しかやりません」というスタンスではなく、「自分はSREだけど、データ分析の領域にも踏み込んでみたい」といった、自分の専門領域を軸にしつつも、貪欲に染み出していけるようなマインドの方だと嬉しいです。
また、横断組織で基盤の実装を経験されていたり、QAエンジニアや効率化エンジニアといったようなミッションに強みを持っている方とぜひ一緒に働きたいです。今回の新設組織については現時点で明確にリーダーはおらず、本部長の自分が兼務している形となっていますので、リーダーとして組織を牽引していきたい!という方も歓迎しています。また、技術統括本部内の組織数に制限を設けるつもりはありませんので、別の軸で横断組織を立ち上げてチームづくりをしたい!という方にもマッチする組織ではないかなと思っています。
———最後に、アプリボットで働くことの魅力を教えてください。
一番の魅力は挑戦できる機会が多いことですね。稼働しているプロジェクト数は年々増え続けており、同時に開発難易度も上がっているため、会社としても常に挑戦をし続けている状態です。今回技術統括本部を設立したこと自体が、アプリボットのエンジニア組織としても、私個人としても、とても大きな挑戦のひとつでもあります。技術統括本部には極めて専門性の高いエンジニアや、効率化が得意なエンジニアなど、多彩な「強み」を持ったメンバーが集まっており、仲間と互いに切磋琢磨できる環境はとても刺激的です。
組織や事業が拡大していく中で、「横断組織だからこそ」生み出せる価値、生み出せる成果が間違いなくあります。個人でやりたいことと会社として求めていることを上手くシンクロさせながら、楽しく大きな成果を出せるようなミッションがここにはあります。 アプリボットの開発を次のステージへ進めるために、ぜひ私たちと一緒にチャレンジしていきましょう。
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