次世代の表現を追求し、全社共通の技術基盤を構築するーーアプリボットの高品質グラフィックスを支える組織「VOXEL」とは

 株式会社アプリボットでは全プロジェクト横断組織「技術統括本部」に、グラフィックス技術に特化した専門組織「VOXEL」を新設いたしました。本インタビューでは、VOXEL責任者の重広に、設立背景や目的、今後の展望について話を聞きました。


<プロフィール>

重広 圭輝(Yoshiki Shigehiro)

ゲーム開発会社にて描画機能全般の設計・構築からインゲーム・アウトゲーム実装など幅広く手がけるグラフィックスエンジニアとしてキャリアを積んだ後、2021年にアプリボットへ中途入社。「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」のクライアントエンジニアを経て、現在は技術横断組織「VOXEL」の責任者として全社的なグラフィックスクオリティの技術支援や共通基盤の開発を牽引すると同時に、リードグラフィックスエンジニアとして新規開発中スマートフォンゲームタイトルの開発にも従事。



次世代の表現を追求し、全社共通の技術基盤を構築する専門組織


ーーー技術横断組織「VOXEL」とは、どのような目的で設立された組織なのでしょうか。

 VOXELとは、技術統括本部内の一組織として新設したグラフィックス技術に特化した専門組織です。最新技術のR&D(研究開発)を通じて次世代ゲームに相応しい「これまでにない表現」を追求しつつ、積み上げた技術資産を会社のプロダクトで共通して利用するための基盤として整備することをメインのミッションにしています。


ーーー設立の背景には、どのような課題があったのですか。

 アプリボットではこれまで、各プロジェクトが独自にグラフィックス実装を進めてきましたが、プロジェクトの個性や要件に合わせた柔軟な対応ができるというメリットがあった一方で、各プロジェクトで生まれた優れた技術や知見が他のプロジェクトに届きにくく、同じ課題を別々のチームが並行して解決しているといった非効率な状況が積み重なってました。「あのプロジェクトではこういう表現を実現していたのか」と後から知るようなケースも少なくなく、会社全体としての技術資産が有効活用されていないもどかしさを感じていました。

 そこで、グラフィックス技術を一箇所に集約し、横断的に活用できる専門組織として「VOXEL」を立ち上げました。名前の由来は、3Dグラフィックスにおける立体を表現するデータの最小単位である「ボクセル(Voxel)」から来ています。最小単位であるボクセルを積み上げるように、小さな単位の技術や知見を積み重ねて、大きな表現やクオリティをつくり上げるという想いを込めています。


ーーー現在アプリボット内に複数の新規プロジェクトが並行していますが、今「横断組織」を立ち上げると決断した最大の理由は何でしょうか?

 最大の理由は、今後の事業展開において新規プロジェクトがさらに増えていく見込みがあるなかで、このまま各プロジェクトが個別にグラフィックスを開発し続けることのコストが、会社として持続可能ではないと判断したからです。プロジェクトの数が増えるほど、各プロジェクトが描画エンジニアを確保し、同じ基盤を別々につくり、似たような課題を別々に解決する、という構図が繰り返されます。その分散コストを抑えながらも、全プロジェクトのグラフィックスクオリティを底上げするには、共通の技術基盤と専門知識を持つ組織が中心に立つことが不可欠です。新規プロジェクトが生まれるこのタイミングこそ、基盤を整える絶好の機会だと考えました。



グラフィックスの力で「アプリボットにしか出せない映像表現」を形にする


ーーーVOXELという組織を通じて、お客様にはどのような価値を届けたいですか?

 一言で言えば、「アプリボットのゲームを遊ぶすべてのお客様に、最高のグラフィックス体験を届けること」です。これまでの各プロジェクトで積み重ねてきた描画技術の知見を集約し、それをVOXELというチームが専任で担うことで、どのプロジェクトの作品であっても一定以上のグラフィックスクオリティを保証できる体制を目指しています。お客様が「このゲーム、映像がすごく綺麗だな」と感じてくれる瞬間を、より多くのタイトルで、より高い水準で届けていきたいです。


ーーーお客様にクオリティの高い映像を届けるために、VOXELとして特に注目している技術領域や、今後挑戦したい表現の方向性はありますか?

 注目している領域はいくつかあります。会社としてコンシューマータイトルへの取り組みを本格化していく方針もあり、特にリアルタイムレイトレーシング・物理ベースレンダリングを深化させ、高品質な光の表現を追求していくことに力を入れてたいと思っています。また、モバイルとコンソール双方を見据えた品質とパフォーマンスの両立を実現するため、アップスケーリング・マルチプラットフォーム最適化も重要視しています。そして、開発パイプラインの構築においては、Cursor、Claude Code、Codex などのAIを活用し、定型作業の効率化・実装の自動化を進めています。アセット生成や品質向上の仕組み化・自動化も行っていき、クリエイターがより本質的なクリエイティブに集中できる環境も整えていきたいですね。

 これまでのゲーム開発では、制約の中でいかにクオリティを引き出すかという戦いが続いてきましたが、VOXELではそこにとどまらず、R&Dの時間をしっかり確保したうえで「まずは試す」という文化を根付かせたいと思っています。最新技術に触れながら実験と検証を繰り返し、その成果を実際のプロダクトに還元していく——そうしたサイクルを回し続けることで、「アプリボットにしか出せない映像表現」を実現していきたいです。


ーーー現状VOXELの目的を達成するために足りないこと、組織づくりの目標について教えてください。

 グラフィックスの網羅性という点ではまだ道半ばですが、シェーダーやポストエフェクト、ライティングはもちろん、パーティクル表現やキャラクターレンダリング、環境グラフィックスなど、専門性を深められる領域はまだまだあります。一方で、コンシューマー向けのグラフィックスはモバイルとは異なる制約や表現の幅があり、より高い品質基準やパフォーマンスチューニングが求められます。VOXELとしても、新たな挑戦に向き合える技術基盤と人材を育てていきたいと考えており、今がその礎を築く大事な時期だと感じています。

 組織として目指しているのは、グラフィックスの知見を持つ人が集まり、互いに高め合える場にすることです。現在在籍しているメンバーも多彩なキャリアを持つ人が多く、すでに知見をお持ちの方はもちろん、グラフィックス技術に興味があってこれから深めていきたいという方にも、VOXELはとてもやりがいのある環境です。品質の高いグラフィックス機能をつくる経験は、携わるメンバー全員の技術力を底上げしてくれるはずですし、そういった方々が集まることで組織としての厚みが増し、より多くのプロジェクトに貢献できるようになると考えています。



グラフィックスエンジニアが「VOXEL」で働く魅力とミッション


ーーーVOXELを、所属するエンジニアにとってどのような組織にしていきたいですか?

 グラフィックスエンジニアとして「業界の技術トレンドを自らつくり出し、最高峰の技術スタックに挑戦し続けられる場所」と思えるような組織にしたいですね。プロジェクト横断で様々な表現課題に向き合えるため、一つのタイトルに閉じていては得られない幅広い経験を積むことができます。また、R&Dや登壇、記事執筆などの外部発信にも積極的に取り組める環境を整えることで、エンジニア個人としての市場価値やブランドを高めることも後押ししていくなど、技術者として成長し続けられる場所であることを、組織として保証したいと思っています。


ーーーVOXELで担うミッションと、その役割の醍醐味はなんでしょうか?

 大きく二つのミッションがあります。一つは、各プロジェクトの描画リードエンジニアとして、そのタイトルのグラフィックスクオリティを技術的に牽引することです。プロジェクトのビジョンを理解した上で、それを映像として実現するための設計・実装を主導します。 もう一つは、全社共通のグラフィックス基盤の開発です。レンダリングパイプラインや共通シェーダーライブラリ、アセット最適化ツールなど、複数プロジェクトが恩恵を受けられる技術資産を継続的に育てていくことが求められます。この「現場での実践」と「技術の芯を深掘りする基盤開発」の両面を経験できるのは、VOXELならではの醍醐味だと思います。


ーーー「各プロジェクトの描画リーダー」や「グラフィックスの基盤開発」という役割は、エンジニアにとってキャリアアップの観点でどのような面白さがあると思いますか?

 描画リーダーとしてプロジェクトに立つ経験は、技術力のみならずコミュニケーション力や設計力が鍛えられる機会でもあります。アーティストやエンジニアと連携しながら理想の映像品質をつくり上げていく過程は、グラフィックスエンジニアとして一段階上のレベルに到達するための最短ルートだと思っています。一方で基盤開発は、より深く技術の「芯」に向き合う仕事です。多くのプロジェクトが使う仕組みを設計するからこそ、堅牢さや拡張性、パフォーマンスへの要求が厳しく、エンジニアとしての地力が問われます。どちらの役割も、専門性と影響範囲という両面でキャリアを豊かにする経験になると感じています。


ーーー最後に、アプリボット、そしてVOXELで働くことの魅力を教えてください。

 最大の魅力は、グラフィックス技術に集中できる環境と、それを実際のエンドユーザーに届けられるスケールが両立していることだと思います。研究だけで終わるのではなく、自分の磨いた技術が大勢のユーザーに遊ばれるプロダクトに反映される実感は、エンジニアとして大きなモチベーションになります。

 特にアプリボットはモバイルゲームというプラットフォームの制約のなかで、いかに高いグラフィックスクオリティを実現するかという課題に本気で向き合っている会社です。その難易度の高さこそが、技術者として腕が鳴る部分でもあります。VOXELという専門組織ができたことで、グラフィックスエンジニアがその専門性を存分に発揮し、挑戦しやすい環境が整ってきたと思います。VOXELのメンバーとともに切磋琢磨しながら「次世代の表現を自らの手で切り拓きたい」という情熱を持った方と挑戦していきたいですね。


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