アプリボットではイラストレーター、アートディレクターの積極採用を行っております。今回は新卒でアプリボットに配属され活躍しているアートディレクターへインタビューを行いました。アートディレクターとして活躍する二人がどのようなキャリアを経て、現在どのような業務に携わっているのか、またクリエイティブ職としていかに裁量をもって働いているかについて話を聞きました。
<プロフィール>
(左)山口 美菜子(Minako Yamaguchi)
2023年にサイバーエージェントへ新卒入社。アプリボットにて「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」のキャラクター装備デザインやイラストを担当、現在は同タイトルのアートディレクターに従事。
(右)河口 絢奈(Junna Kawaguchi)
2018年にサイバーエージェントへ新卒入社。アプリボットにて「神式一閃カムライトライブ」の企画を経験したのち、デザイナー職に転向。「BLADE XLORDーブレイドエクスロードー」のアシスタントアートディレクターを経て「NieR Re[in]carnation(※)」に携わったのち、「FINAL FANTASY VII EVER CRISIS」にてアートディレクターを担当し、現在は開発中の新規プロジェクトのアートディレクターに従事。
※開発:アプリボット、企画・制作:スクウェア・エニックスによるスマートフォン用ゲームアプリ。現在はサービス終了。
ーーー絵を描く仕事、その中でもゲーム業界で働くことを決めた理由を教えてください。
山口 もともと絵を自発的に描いていた幼少期ではありませんでしたが、書道や美術の授業で描く風景画など、手本をもとに書き写したり、模写したりすることが好きでした。高校時代に漫画やアニメに触れるようになり、デジタルイラストという技術を知って世界が広がりました。ゲーム業界に興味を持ったのは、高校生のころから今現在まで続けているゲームの影響がかなり大きいです。数多くいるキャラクターひとりに着目しても、こんなに世界観や想像を広げることができるんだという衝撃を受けました。そこで初めてファンアート描いてみたりリアルイベントに行ったりして、同じように夢中になれるコンテンツを自分も作ってみたいと思いこの業界を目指しました。
河口 小さいころからゲームが大好きで、人生に大きな影響を与えてくれた様々なコンテンツにも憧れていたので、自分自身でもコンテンツをつくる側に立ちたいと思いゲーム業界に就職を決めました。もともとは企画職として就職活動をしていたので、学生時代まで絵を描く経験はなかったんです。新卒時に最初に配属されたプロジェクトでクリエイティブチームの雰囲気や考え方に強く憧れ、「クリエイティブや世界観を自身で作れる人間になりたい」とクリエイティブの世界に飛び込びました。趣味や勉強ではなく、業務として本格的に絵を描くようになったのはここ3、4年ほどになります。元々はプランナーだったこともありイラストはほぼ未経験でしたが、クリエイティブやキャラクターの魅力を最大限表現する方法を模索するため、日々勉強しています。
ーーーおふたりは新卒でサイバーエージェントに入社されましたが、特にアプリボットに配属先を決めたきっかけを教えてください。
山口 就職活動で大切にしていたのが、自身がより成長ができる環境、今後成長していく企業という観点でした。サイバーエージェントはエンタメ業界にも幅広く精通しており、自分では想像もつかないような新しい技術や領域に巡り会えるかもしれないと思い入社を決意しました。技術に貪欲で意欲的なイラストレーターの社員の方が多く在籍していたことを受けて、業務の中で刺激を受けて成長できそうだなと感じ配属先としてアプリボットを選択しました。
河口 年齢や職種問わず、より良いものをつくるためにチャレンジする風土があることに魅力を感じ入社しました。プランナーからデザイナーに転向してアートディレクターを目指すというのは一般的にみると突拍子もないキャリアだと思いますが、「やりたい!」と手を挙げたことに対して全力で応援してくれる文化があるのはアプリボットならではだと感じています。
ーーー河口さんはプランナーからクリエイティブ職に転向という大きなチャレンジをされた一方で、苦労も多かったのではないでしょうか。
河口 そうですね。他のクリエイターの方々に比べて自分のスキルや強みが全くないといっても過言ではないところからのスタートでしたので、「どう自分の価値を生み出すか」を模索するのに非常に苦労しました。当時の上長だった常務取締役の竹田から「審美眼を磨くためにはとにかくインプットが必要」とアドバイスをもらい、それ以来アニメを中心に様々なコンテンツをくまなく見るようにしました。
また、日々の業務の中でバナー制作などのデザインやプロモーションの動画制作、Unityでの掛け合い動画の制作や組み込み、モーションやエフェクトの発注依頼など、プロジェクトで求められているクリエイティブ関連の業務を見つけて取り組むようにしました。良くも悪くも浅く広く知識を身につけることができたので、おかげでプロジェクトにおけるクリエイティブ制作に関しての勘所や、全体のフローと工数を具体的に理解できるようになりました。
ーーーアートチームではクリエイティブにとどまらず企画にも積極的にアイデアを出す取り組みをされているとのことですが、具体的な事例を伺いたいです。
山口 最近ですと、アートチームから提案した衣装が、いちイラストとしてだけでなくイベントとしても実装された事例があります。一般的に企画といえば「ディレクターやプランナーの仕事」というイメージがあると思いますが、アプリボットでは企画職以外の職種の人でも、良いアイデアがあればどんどん提案していこうという雰囲気があります。
河口 よい提案を募るために、プロジェクト内ではプロデューサーに企画や改善案を提案することができる「提案会」が毎月開催されています。提案会では、セクションを問わずに「ゲームを良くするためのアイデア」を持ち寄り、プロデューサーやディレクターからフィードバックを貰います。提案会で提案されるものは新規開発機能の追加やUIデザインのブラッシュアップ案、新しい衣装など様々で、その場で案が決議され、実際にゲームへ実装されることも少なくありません。アートチームからの提案もここから実現に至りました。
山口 最初はキャラクターの衣装デザインラフの中にアートチーム全員の印象に残った衣装案があったことがきっかけでした。河口さんが「企画にしよう!」と提案してくれて、短期間でたくさんの衣装案をひたすら出し合いました。チームみんなでキャラクターのことを考えているからこそ、意外な一面を見せられる提案ができたと思います。
河口 最終的に提案に関連するチャットが80件以上にもなってしまいましたが、つまみちゃん(山口)がぎゅっと資料にまとめて提案をしてくれました。チームみんなで「ああでもない、こうでもない」と衣装デザインのラフをたくさん出して議論し合い、文化祭の準備期間のような雰囲気でとても楽しかったですね。
ーーーチームの熱意が形になったのですね。提案会に限らず、職種を問わず話し合う機会は多いのでしょうか?
河口 プランナーに対して「こういう衣装は、イベントはどう?」と気軽に話せる空気感だと思います。また、企画の人から「キャラクターのこういう姿が見たい」といった意見をもらえることもあり、アートチームにはない発想や意見がとても刺激的で、お互い意見交換ができるありがたい環境です。
山口 どちらかから提案を出すだけではなく、一緒に考える機会も多いですよね。バトルやシステムといった企画面はプランナーのみで進行することもありますが、最終的には職種の垣根を越えて一緒に案をまとめることが多いかもしれません。企画チームもアートチームも観点は違えどひとりの「ゲームが好きなゲームクリエイター」として気軽に話し合える環境だと思います。
ーーープロジェクト内のコミュニケーションが活発な様子が伺えますが、アートチームでは日ごろどういったコミュニケーションを取っていますか?
河口 毎日「夕会」を実施しており、そこでお互いのアウトプットを見せてアドバイスをしあっています。クリエイティブに対して意見を伝えるのも貰うのも一定の勇気が必要なので、フィードバックを行う練習の場にもなりますし、お互いの考え方を知ることでスキルアップにもつながるとても良い機会になっています。
山口 流行しているコンテンツや良いと思ったクリエイティブは積極的にチームに共有するようにしています。仕事という側面では、共通認識になったりモチベーション維持になったらいいなと思って行っていますが、単純に一緒にものづくりしている仲間として打ち解けることで、ワクワクする感情を純粋に共有したいなと思ってやってます。
河口 アートチームのメンバーはクリエイターとしても人としても尊敬できる方たちばかりで、話を聞いたりアウトプットを見るだけで勉強になるような、非常に刺激の多い環境です。同時に毎日ランチに行くくらいとても仲が良く、お互いの意見を尊重しあって褒めあったり、熱い議論を交わすことができるのも魅力的です。クリエイティブに本気で向き合える環境だと思います。
山口 いい意味でみんな面構えが違うというか、クオリティに対しての貪欲さがあるから「良いものつくりたい」と自然と燃え上がることができる雰囲気がとても好きです。プロジェクトが違ってもアプリボット全体を通してアートチームはかなり仲が良いですし、交流や勉強会が盛んで良い環境だなと日々感じています。
ーーーチームで仕事をしているからこそ乗り越えられた経験などはありますか。
河口 先ほどお話ししたアートチーム主導の企画は、制作スケジュールに余裕がないなかでの進行でした。チームメンバーのみんなが企画の内容にテンション高く共感し取り組んでくれたおかげで、今までとは異なる魅力が引き出せたイベントになったと自負しています。オリジナルのシナリオを制作して今までとは異なる掛け合いのシステムを使ったり、普段の雰囲気とは異なるクオリティの高い3D背景をつくったり、サイト内で相関図をつくってキャラクターの深掘りをしたり、4コマを描いたり…。新しい試みが多かったですが、チームメンバーのキャラクターやストーリーへの愛のおかげで、無事リリースすることができました。
山口 新卒のころは物事を抱え込んでしまうタイプで、初めて担当したデザインが本当にうまくいかず毎日悔しい思いでいっぱいでした。適切に周囲に相談ができず、ずっと自分の技術が足りないせいだと自分を追い込むことしかできていませんでした。このままではチームにもプロジェクト全体にも迷惑をかけてしまうと思い、当時トレーナーだった河口さんに何度も相談させていただき、なんとか前に進むことができました。そのころから自分の中で「周囲に相談をする」ということへのハードルが下がり、相談や意見交換をする機会が増えていった気がします。
ーーーおふたりはプライベートでも「オタク」だとお聞きしたのですが、趣味での活動が業務にいかされていますか。
河口 私は生まれながらのオタクなので、オタク的な思考やユーザー目線がそのまま仕事にも影響して役に立っていると思います。好きなアーティストのライブを観賞したり、ゲームをプレイしたりするなかで「こういう演出をするとこういう感情になるんだ」みたいな気づきを得ると、趣味や業務に関わらずすぐに制作にいかしたくなります。
山口 趣味が仕事の実益になるというか、自分的には逆の流れになってしまっているのですが、普段仕事でもオタク的な考え方やこだわりを意識しているので、趣味の創作活動でも昔よりさらにこだわりが強くなっていってる気がします。双方が影響し合うことで、結果的にどちらもレベルアップしている気がします。
ーーーイラストレーター、アートディレクターとしてやりがいを感じた経験を教えてください。
山口 お祝いイラストなどの一枚絵をラフから提案できたことです。企画を担当できたこと自体とても光栄でしたし、自分で工夫して考えたことをそのまましっかりに画に反映させてもらえてとても良い体験になりました。もちろんアートディレクターのディレクションや助言がありますが、基本的に自分で考えたデザインやイラストがそのまま採用されることが多く、年齢や入社年次に関係なく責任を持たせてくれるのはとてもやりがいを感じました。
河口 プロジェクトにご協力いただくイラストレーターさんを自らリサーチし、自分のお声がけをきっかけにプロジェクトに参画してくださる流れを経験したり、クリエイティブコンセプトの設計、発注、ディレクション、納品まで一貫して責任を持って担当したりなどの経験をすると、自分がプロジェクトを担う一員であることが感じられます。また、アプリボットは他社IPを多く取り扱わせていただいていますが、その「IPならでは」の魅力を大切にしつつ、アプリボットの「クリエイティブチームならでは」の視点で新しい衣装やイラストを提案できることは、とてもやりがいがあります。
たとえば、原作IPがコンシューマーゲームだったものをスマートフォンゲームとしてリリースする場合、お客様がプレイする画面のサイズやキャラクターの操作方法は全く異なったものになります。画面が小さくなるとキャラクターや世界観の魅力の届け方も異なるため、衣装が潰れて見えたりしないか?背景や演出が分かりやすい表現になっているか?などを考える必要があります。現在のプラットフォームでIPの魅力を最大限にして届ける方法を考え、「ここでしか見られない体験やクリエイティブ」を目指し、IPへの愛とリスペクトをチーム全員が持って制作に取り組んでいます。
山口 IPタイトルのゲーム開発・制作に携わらせていただくにあたっては、原作とファンをより深く結びつける懸け橋になることを強く意識しています。IPの魅力は原作者やファンの方々が長きにわたり大切にしてきたものです。これまでIPを支持されてきた皆様の声に耳を傾け、自分もチームもそのIPのコアなファンになることで、今の時代に合った形で「新しい側面を見つける」ことが自分の役割だと思っています。
ーーー最後に、「こんな人と一緒に働きたい」という人物像を教えてください。
山口 好奇心があり、様々なものに興味津々になれる方です。お客様やチームの仲間、そして自分自身の気持ちを上げるために色々模索したり議論したり、好きなことにとことん熱くなれる方がアートチームに合っていると思います!
河口 キャラクターや世界観に愛をもって制作に取り組める方と一緒に働けると嬉しいです!オタクが増えると私が喜びます(笑)。
山口 会社員のイラストレーター職というと、どうしても企画書の通りに作業をして自分の描きたいように描けないというイメージがあったのですが、アプリボットではむしろイラストレーターの方がガンガン会社を引っ張っていることが多く、大きな衝撃を受けました!かと言って近寄りがたい雰囲気があるのかと思っていたら、みなさんとても優しくて、すごく手厚く育ててもらっています。こういったカルチャーに共感してくださるクリエイターの方と働くことができると嬉しいです!
河口 私自身、企画職からクリエイター職にキャリアチェンジをして感じたことは、「良いゲームやコンテンツをつくろうと本気で向き合うことに職種や役割は関係ない」ということです。職種にこだわらず、お客様に魅力的なものを届けるためには何が必要かを考えて自分の得意分野を伸ばしたり、他のチームメンバーが求めているものを提供するために思考を巡らせてものづくりができる方とご一緒できると嬉しいです。
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