仲間とともに想像を超える景色へ。「AartS by applibot」初の企画展が形になるまで

 アプリボットでは、アプリボットのクリエイターで構成されるアートスタジオ「AartS by applibot (アーツバイアプリボット、以下AartS)」初の企画展「AartS展」を開催しました。AartS展の企画を提案し、プロデューサーを務めた黒田に展示を企画した背景や実現までの過程、チームづくりについて話を聞きました。

※AartS展は「2026年度下半期 CyberAgent AWARDS授賞式(全社表彰)」にてベストコントリビューター賞にノミネートされました。


<プロフィール>

黒田 紘通(Hiromichi Kuroda)

多摩美術大学で日本画を学んだ後、イラスト制作会社、ゲーム会社を経て2024年にアプリボットへ中途入社。現在は新規開発中プロジェクトのイラスト制作とディレクションを担当するほか、「AartS展」のプロデューサーを務める。X:@kuromagnon


メンバー一人ひとりの個性を外の世界に届けたい

ーーーAartS展の企画を考え始めたきっかけを教えてください。

 アプリボットに入社してまず感じたのは、アートメンバー一人ひとりのスキルがゲーム業界内で見ても非常に高いことでした。これまで様々な業界内のアート部門を見てきた私にとって、とても大きな衝撃だったことを覚えています。

 また、入社当初はアートチームのマネジメントも私のミッションの一つでした。チームづくりを考えながら、会議体の見直しや外部との交流企画など、組織改善を中心に取り組んでいました。そうしたなかで、メンバー一人ひとりが会社に属してIPタイトルで実績を出しつつ、個人SNSを軸にオリジナルのクリエイティブも外に発信していることに気づいたんです。

 「発信力も画力も高いこの人たちの力になりたい!」「チームを一歩前進させるために自分には何ができるのか?」と考えるうちに、漠然としていたミッションと自分の思いが結びつき「発信を軸にチームをブーストする」というアイデアにたどりつきました。


ーーー企画を提案したとき、周囲からはどのような反応がありましたか?

 漠然と周囲への影響範囲が大きくなるアイデアになりそうだと感じていたので「みらいサミット※」というアプリボットの未来につながる組織・事業課題の解決策を提案・決議する場で企画を提案しました。発表の場でも手ごたえがあり「応援します」「協力したいです」といった声をいただけたのは嬉しかったですし、アートチーム以外のセクションから普段の業務実績とは違った一面を新鮮に受け取ってもらえたことが印象的でした。

 「個人の制作活動をチームとして発信すること」にアートメンバーが共感してくれるか不安でしたが、企画が採択されたからには曖昧にせずしっかりやりきろうと決めていましたし、賛同してくれたメンバーとの信頼関係も少しずつ築けていたため、プロデューサーとしてこの企画を推進する覚悟に迷いはなくなりました。

※みらいサミットの開催レポートはこちら

責任を持つこと、頼ること。

ーーー展示方法はどのようなものを想定していましたか?

 当初はオフィス内での展示を想定していましたが、この企画を広く知ってもらうなかでギャラリーを紹介してもらえる機会がありました。改めてメンバーに意向を確認したところ「せっかくなら社外で思い切った展示をしたい」という声が上がったため、アプリボットのクリエイターで構成されるアートスタジオ「AartS」による初の企画展という位置づけにし、実現に向けて動き始めました。社外というハードルに正直なところ尻込みもしましたが、みんなの熱意を抱え、アクセルを全踏みすることにしました。

 AartSとして初めて作品をお披露目する場でしたので、クリエイターには作品を通して自己紹介するような気持ちで臨んでもらいました。AartSを知ってもらうとともに、それぞれのクリエイターがプロダクト制作を通して磨きあげてきた個性と表現を感じてもらいたい。そのために、描き手のスキル、特に画力を発揮してもらうことをお願いしました。


ーーー企画展の準備を進めるなかで、特に大変だったことは何ですか?

 私自身、本格的な展示会の企画は初めてで、何から手をつければいいのか分からず手探り状態で、正直なところ不安でいっぱいでした。その不安が悪影響を及ぼし、私は決めごとをしっかり整理してからメンバーへ相談しなくてはと考えてしまい、進捗共有も相談も遅れるという状況が続いてしまいました。

 そんな折にある懇親会でアートチームの後輩二人と同じ席になり、本当に多忙にもかかわらず「どんどん相談して、もっと私たちを巻き込んでほしいです!水くさいです!」と半ば怒られてしまい、そのときに目が覚めたんです(笑)。こうやってチームで一枚岩になるのがアプリボットなのだと。それからは展示内容や進め方について固まっていない早期段階から共有し、頼れるところはメンバーに頼るようにしました。得意分野に合わせて役割を担ってもらうことで自分一人では思いつかなかったアイデアが出てきましたし、相談を重ねるうちに課題や完成イメージが具体的になり、チームの動きにもスピードが出て展示全体が少しずつまとまっていった感覚があります。なによりみんなでつくっているという感覚が強くなり、それをチーム内でも共感できているような空気ができ上がっていきました。

 いま思えば中途入社の際によくある「自分が即戦力として成果を示さなければ」という呪縛に囚われていたようにも思えます。相談してからの物事の進み方を振り返ると、アプリボットで浸透している「二割当て(二割の状態でどんどん人に壁打ちする)」という言葉の大切さや「仲間と力を合わせ、使えるものはすべて使って出し切ろう」という姿勢が大切にされていることに大きな納得感があります。

 展示作品の制作ではテーマ決めやエスキースの段階で見通せない部分もありました。そこでアニメ、ライトノベル、ゲームなど幅広い領域で活躍するクリエイターが集まったアプリボットのクリエイティブスタジオ「SSS by applibot」のメンバーにも相談し、企画の立て方から開催までさまざまなアドバイスをもらいました。

 また、社内施策の企画・運営を通じて組織を活性化する組織であるアクティベーション室からの提案で、社員向けの展示ツアーの開催や役員陣による内覧会へのゲスト招待など、アプリボット全体でAartS展を盛り上げてもらえたことも心強かったですね。みなさん本業がある中で協力する姿勢が大変強く、たくさんのご協力のもとAartS展が次第に大きくなっていくのを実感しました。


「箱」はあとからついてくる。

ーーー展示会は大成功でしたが、仕事への向き合い方に変化はありましたか?

 自分は逆算して考える傾向が強く、ゴールを決めると予定どおりに進んでいるかを意識します。そのため、必要な条件を満たしていれば、そこで一区切りと考えることもありました。それだと一番うまくいっても100点なんですよね。一方で、メンバーには積み上げて考える人が多く、よりよくするための提案をたくさんもらい粘り強く質を高めることや、さらによくしたいと欲を出し続けることで、いつか想像を超えたところまで到達できることがあるのだと学びました。


ーーー展示を終えて、どのような手応えがありましたか?

 展示の全体像を正確に体感するタイミングが作品搬入時までなく、開催前日まで、本当にどうなるか分からず不安は残っていましたが、すべての搬入を終え、メンバー全員の作品がギャラリーに並んだときの圧倒的な見ごたえに「みんなの120%が集結してるんだ、成功は間違いない」と、確かな手応えがありました。結果として、当初自分が想像していた以上の展示に仕上がり、3,000名以上の方にご来場いただくことができました。

 協力してくれたメンバーたちの努力を無駄にしない。その思いで「やれることは全部やった」と思えるところまで泥臭く取り組みました。仲間と一緒に自分の想像を超える成功を迎えることができたことを本当に幸せに思います。

 アプリボットには、自分のアイデアを形にするためのノウハウや環境があり、そして一緒に実現に向けて伴走してくれる仲間がたくさんいると確信しました。だからこそ、まずは自分から発信することが大切だと思います。企画を進めるなかで難しい局面にぶつかることもありましたが、周囲には一緒に考えてくれる仲間がたくさんいます。そうした環境を生かし、期待を超えて大きな成果につなげようと取り組み続けることで、結果として自分に任せてもらえる場所ができていく。走りながら、手を借りながら、整えながら、最高到達点までやりきる。今回の自分にとっては、「AartSのプロデューサー」という役割の「箱」が、後からついてきたように感じています。

ーーーAartSとして今後挑戦したいことを教えてください。

 会社員として働きながらも、こうしてクリエイター個人としての発信の場を持ち、それが会社全体から応援されているという環境自体がなかなか他の会社では難しく希少な環境だと考えているので、発信の場をつくる挑戦はぜひ続けていきたいと考えています。

 今後は「アプリボットにはこんな魅力的なクリエイターがたくさんいるんだ」ということをさらに多くの方に知ってもらうために、地方巡回展や新規メンバーの参加、規模を拡大していくなどの発信を続け、アプリボットやAartSのクリエイティブやチームの雰囲気に共感してもらえる仲間を増やしていきたいです!



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