アプリボットにおける漫画ディレクターの働き方

今回は、アプリボットの漫画制作の責任者である鍛治 健人さんのインタビューです。ユーザーからの評判も良かった、スマートフォンゲーム「神式一閃 カムライトライブ」(以下、「カムライトライブ」)内で掲載している漫画『ニコリのカボチャまつり』の話を中心に、アプリボットでの漫画のつくり方、向き合い方について話を聞きました。


-自己紹介をお願いします!

鍛治:シナリオライター兼、アプリボットの漫画部署「MAGNA(マグナ)」の責任者をしている鍛治です。よろしくお願いします。


-「MAGNA(マグナ)」では、どんなことをしているのですか?

鍛治:「MAGNA」では、アプリボットで提供している複数のスマートフォンゲームアプリ内に掲載している漫画を制作しています。日本の文化の一つでもある漫画は、アプリボットでもキャラクターや世界観をよりユーザーの方に伝える一つの武器となっています。ちなみに「MAGNA」という名前は、MANGA(マンガ)を組み替え、新たな漫画の形を作っていくという意味を込めています。


「MAGNA」での漫画制作は、プロデューサーから依頼を受け、どのゲーム内キャラクターの漫画をつくるかを決めたあと、ストーリーをつくるプロット、骨組みをつくるネーム、漫画にするための清書という工程を踏みます。


僕は「MAGNA」の責任者をしながら、漫画全体のおおよそのストーリー展開であるプロットと、ストーリーの流れであるシナリオをつくっています。漫画全体の骨格となるため、プロジェクトメンバーからキャラクターの設定や背景などをヒアリングしながら進め、リリース時期や売り出し方まで考えていきます。ここまでの内容が決まったら、マグナに所属している漫画家さんにネームを描いてもらい、フィードバックを重ね納品までもっていく感じですね。

「MAGNA」公式Twitter : https://twitter.com/CcManga

▲漫画の制作工程

▲漫画のネーム


-鍛治さんは、具体的にどんなサービスを担当しているのでしょうか?

鍛治:「カムライトライブ」やマンガRPG「ジョーカー〜ギャングロード〜」(以下、「ジョーカー」)を担当しています。

-ハロウィンの時にリリースした「カムライトライブ」の漫画『ニコリのカボチャまつり』も担当されてるんですか?

鍛治:そうですね。『二コリのカボチャまつり』では、二コリという女の子のキャラクターの可愛さをしっかり引き出すことができて、予想以上の人気が出たのですごく嬉しかったです。

▲漫画『二コリのカボチャ祭り』


-『ニコリのカボチャまつり』で工夫した点を教えてください!

鍛治:今回、「ニコリ」=福の神をメインキャラクターとして出そうと決まった時、まず「泣ける話にしたいのか」「かっこいい話にしたいのか」「恋愛の話にしたいのか」等、どういう漫画で見せたいのかをプロジェクトメンバーにヒアリングしました。その結果、「可愛くて誰にでも愛されるキャラクターにして前面に出したい」という要望があったので、漫画のリリース時期が10月というタイミングも考え、ハロウィンイベントと掛け合わせ、ニコリの「可愛い」を引き出そうと考えました。


ただ、「カムライトライブ」の世界観にハロウィンという文化がないので、「かぼちゃ祭」という架空のイベントを作り、そこでコンサートを開きながら、読者の方とニコリが力を合わせて強大な敵であるケガレを倒すという構成を提案しました。

▲漫画『ニコリのカボチャまつり』ケガレの登場


-そのほか、漫画制作において気をつけているところはありますか?

鍛治:「カムライトライブ」は当初から、ゲーム自体の根幹でもある「王道少年漫画」のような世界観の漫画にしたいという思いがあります。「王道少年漫画」とは、プレゼントの蓋を開けた時のようなワクワク感と読み進んだ先のご褒美感、いわゆる気持ちのいい読後感がある漫画をイメージしています。『二コリのカボチャ祭り』でも、いかにニコリというキャラクターに読者の方が感情移入し、ワクワク、ドキドキしてもらえるかを考えてつくりました。プロジェクトが目指しているものにきちんと寄り添えるような漫画作りを心がけていますね。ネームを切るところも「王道少年漫画」を得意とする作家さんに依頼してお願いしています。


-ネームに「王道少年漫画」っぽい工夫もできるんですか?

鍛治:漫画をどう読んでもらいたいかによってコマの形も演出の仕方も変わってきます。例えば、斜めに切っているものだとテンポを速く話を読んでもらいたいとか、四角に切り取っているとゆっくり読んでもらいたいなど。「王道少年漫画」だと四角のコマを使っていて、文字の緩急や大コマを多く使うようにしています。


-鍛治さんは今までも漫画に携わる仕事をしてきたんですか?

鍛治:もともとこの会社に入る前は、僕も漫画家でした。4年くらい前に知り合いから誘われてアプリボットの面接を受けてみたら、たまたま面接中に僕の父親が「ジョーカー」の漫画を描いていることがわかって、運命のようなものを感じ入社することを決めました!


-ドラマチックですね、もう漫画みたい!

鍛治:確かに(笑)


-普段ものづくりをする上で心掛けていることはありますか?

鍛治:んーそうだな、すごくカッコつけた言い方になっちゃうかもしれないけど、基本的には僕がスタート地点で0から1をつくるポジションにあるので、自分一人でつくる時は、「これが絶対に面白い」と自信をもって言えるようにつくらないといけないなと思っています。でも、誰かに見てもらえる時やフィードバックをもらっている時は、素直に受け取らないといけないので、自分がつくった作品を俯瞰して見られるように心がけています。

鍛治:あとは、僕がすごくリスペクトしてる人に言われた言葉で、「物作りはどれだけ1+1を3って言えるかだ」という考え方を大切にしています。普通だと答えは2なんですが、クリエイターは普通を越えていかなきゃいけないという意味が込められているんです。自分が主張し続けたり、自分の作品でアピールし続けたりして、1+1は3かもしれないと思ってもらえたら初めて作品として価値のあるものになるということを教わって、自分の中に響いたのでずっと大事にしていますね。


-本当に素晴らしい言葉ですね。最後に、アプリボットで漫画を描くことの魅力を教えてください。

鍛治:今、人気があるゲームには漫画が元になっている作品が多いことを考えると、漫画は、一つのIPをつくる力があると思うんです。アプリボットでは、漫画とゲームを組み合わせたサービスを提供しているので、その相乗効果を狙ったチャレンジをできのが、いいところだと思っています。

それに、領域には囚われず、強みを活かしさまざまな事業に挑戦していくというのがアプリボットの考え方なので、今後も幅広く「ものづくり」に挑戦していけることも魅力だと考えていますね。


-ありがとうございます!今後も鍛冶さんの活躍を楽しみにしています!

鍛治:今回は、ありがとうございました!