米山舞が語る、キャラクターが動き出す!生きている絵のつくりかた

SSS by applibotではアプリボットやグループ会社のクリエイター向けに、メンバーが登壇するセミナー「SSSスクール」を定期的に開催している。

今回は米山舞が登壇した講義「キャラクターが動き出す!生きている絵のつくりかた」の内容を紹介しよう。

米山舞

2007年に株式会社ガイナックスに入社し、アニメーターとして活動。2017年からイラストレーターとしても活動の幅を広げる。代表作は、アニメ「キズナイーバー」キャラクターデザイン、アニメ「キルラキル KILL la KILL」作画監督、アニメ「ダーリン・イン・ザ・フランキス」ED演出、作画監督や、ファミ通文庫「海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと」装画など。

・プロフィール、その他イラスト作品はこちらから

https://sss.applibot.co.jp/member/yoneyama.html 


キャラクターを生き生きと魅せる、躍動感のつくりかた

・そもそも躍動感とは?

はじめに「躍動感のつくりかた」というテーマで、そもそも躍動感とはなにかを説明した。

©TRIGGER・中島かずき/キルラキル製作委員会


実際にアニメ「キルラキル KILL la KILL」の1話で主人公の流子(左のキャラクター)が片太刀バサミを振り回すシーンの絵コンテと原画を例にあげ、このようなシーンをより勢いよく生き生きと動いて見えるようにするものが躍動感だと語った。 

人や物がどういった動きをするか、どこに流れていくのかを見極めて、目的意識を持って描くことが重要だという。


・デッサンを正確に描くことに囚われすぎないこと

また、デッサンをもとに正確に描くことはもちろん大切なことだが、動きとしてのバランスを取ることも大切だと語った。

デッサンを学べば学ぶほど正確性を要してしまい、絵に勢いがなくなってしまうことがあるので、頭をやわらかく持つことを心がけている。

例えば、上記の原画でいうと実際の人間はこんなに口を大きく開けることはできないが、絵としての勢いを出すためにはあえて不自然な表現をすることもある。


・躍動感は動きとシルエットから生まれる

次に、「ファイアーエムブレムヒーローズ」の米山がキャラクターイラストを手がけた「月へ昇る魔女 ワユ」を例にあげ具体的にどう躍動感をつけたのかを説明した。


©2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS


躍動感を付けるためには、

・流線的な線を描く

・体のパーツの傾きを持たす、向きを互い違いにする

・シルエットをわかりやすくする

・普段見えないであろう面、形を見せる

などの点を意識しているという。

体のパーツをできるだけ多く動かすためには、手足などのパーツを中心に動かしそのシチュエーションの中で最大限表現できるポージングをつくること、

シルエットに関しては、足と足の間、手と服の間、など隙間の抜きの部分をできるだけ増やすこと、キャラクター全体を黒く塗りつぶしたときにも、なにをしているかがわかるようなシルエットにするよう心がけていると語った。


・日々の観察から躍動感は生まれる

また、リアルな動きを付けるためには実写の動画をよく観察することが大切だという。

自身も実写映像やアニメをコマ送りにして1枚1枚模写を行っていた。(ロトスコープ)

例えば、スカートを履いた女性が走る映像の場合、

「走り始めのスカートはこうひらめくんだ」

「人間の体ってこういう風に曲がるんだ」

「思った以上に髪の毛は跳ねるんだ」

など新しい発見がある。

これは実際に観察しないとわからないもので、知っていると知っていないとで絵の説得感が変わってくる。

また、自身はシュチュエーションを描くことを意識しており、普段の生活の中でも絵に活かせるシュチュエーションを探しているという。

例えば普段の生活の中で、耳に日光が当たったときに、皮膚が薄いため耳が透けて見えるという出来事があった。

そういった印象的なシーンを普段からストックしているという。


キャラを理解してからこそ出来るキャラクターデザイン

今までアニメ業界で働いてきたので、ゲームとは少し異なる部分があるかもしれない、と前置きした上で、キャラクターデザインはキャラクターの設定や性格がデザインに落とし込めているかを意識しているという。

特に、

・顔と表情

・動きなどの演出

の2点を意識しているという。


・顔と表情

キャラクターデザインの中で最も注力している箇所は顔で、特に目を重要視している。

表情にこそキャラクターデザインが活きる場所だと語り、魅力的なキャラクターにするためには、あえて表情をつけすぎないことで情緒を醸し出し、考えさせることもあるという。


・動きなどの演出

暗い性格のキャラの場合は猫背にする、自信があるキャラは胸を張るなど、そういった動きや特徴で性格の違いを演出するという。


・普段の生活の中から絵に活かせるものを見つける

また、キャラクターに味を出すために、自分の身の回りにいる知人や、自分自身を参考にすることも多いという。

優しくておっとりしている人、怒りっぽくてこわい人、というふうにカテゴライズして、なぜこの人からはこういう印象を受けるのか、ということを観察してみるという。例えば足の組み方や首のかしげ方などちょっとした仕草を見て、なぜこの人はこういう仕草をするんだろう、こういう髪の長さなんだろう、というように分析をする。


・テイスト合わせは役者になること

 ©khara


原作者の絵のテイストに合わせてキャラクターを描く"テイストを合わせ"に関しては、自分が役者になるようなもので、そのキャラクターがどういう性格かを徹底的に理解して、動きや表情を想像して描くことが大切だという。

また、絵の原作者が何に影響を受けているのか、どういう絵の癖があるのかなど、掘り下げて理解して制作している。原作者の美徳を知ることは、自分の美徳を一旦捨てることにもなるが、自分だったらこうする、というプラスアルファを付け加えることによって更にもう一段階魅力的に出来るという。

ただし、原作者特有の絵の癖や歪みを無くしてしまうと、癖がなくなってしまい、その絵の魅力を消してしまうことにもなるのでアニメの仕事ではその辺りを注意したと話した。 


生きている一瞬を切り取る、一枚絵のつくりかた

背景とキャラクターが描かれている一枚絵におけるレイアウトは、

・シチュエーションがわかりやすく伝わるか

・どこを目立たせたいか

を意識しているという。


・シチュエーションがわかりやすく伝わるか

その絵の中のストーリーの流れの中のワンカットをいかに見ている人にわかりやすく伝えるかを重要視しているという。 

一枚絵の制作では、伝えたいシチュエーションを決めて、いかにわかりやすく伝えるかでレイアウトを決めているという。 


例えば上記の絵は、何者かから逃げているシュチュエーションということがわかる。なぜそれが伝わるかというと、怪我をしている、後ろを振り返っている、上半身の傾斜の緊迫度、など様々な要素が組み合わさっているからだ。


・どこを目立たせたいか

シュチュエーションを表現する上では視線誘導が大切だという。全体的に力を入れすぎると本当に目立たせたい部分が目立たず、目線が散ってしまうため、伝えたい情報だけを目立たせるように気をつけている。


・まろやかさを演出する線

線の描き方についてもこだわりがあり、絵の柔らかさを出すためにあえて線のストロークを止めて、最後まで引かないようにしていると語った。

そうすると線に丸みが生まれ、まろやかな印象になる。線は後から足していく、という意識で描いているという。 

上記の絵は特に脇の部分の線を何度か描き直したという。 


一番大変だった制作は?作業環境は?モチベーションの上げ方は?

講義終了後は質疑応答が行われた。

・一番大変だった制作は?

アニメ「キルラキル KILL la KILL」で6秒間のシーンを1ヶ月で60枚描いたときは苦労したという。

キャラクターデザインで一番大変だったのは「キズナイーバー」だと語った。もともと「キズナイーバー」は絵の原作者で三輪士郎氏がおり、氏の絵の良さである奥行き感、ケレン味を表現するのは実際に動かすアニメではその魅力を出すのが大変だったという。


・作業環境は?

CLIP STUDIOとPhotoshopを使用して描いているという。

アニメーター時代はアナログだったため、その線に近づけたいので鉛筆のようなブラシを使用している。


・モチベーションを保ったまま絵を描くには?

自分になにか大きい感情が芽生えたときに描くとスムーズに制作が進むと語った。

自身は喜びや怒りなど、なにかを伝えたいという感情が大きいときに絵を描くことが多く、感情が乗った状態で描くと、絵を見た人にもその気持ちが伝わりやすいという。

また、一日の絵の描き始めには、いわゆる線の準備体操として落書きや自由に線を引いてみたりする。それはあくまで練習のためどこにも掲載しないものだが、描くと描かないでは、絵の勢いや仕上がりが変わってくるという。


ほかにもクリエイター約20人からの質問に回答した後、会は盛況のまま閉幕となった。

SSS by applibotでは今後も定期的に行っていく予定だ。

次回は「ポケモンカードゲーム」「ポケットモンスター サン・ムーン」のキャラクターデザインを手がけた7ZELの講義を紹介する。 


SSS by applibot デザインインターンシップ

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