<執行役員インタビュー>エンジニアが成長実感を得られる環境をつくりたい

伊藤 皓程(Kotei Ito)

2015年サイバーエージェント新卒入社。スマートフォンゲームのサーバーサイド開発やアドテク事業にてテックリードを経験。2019年にアプリボットへ異動。バックエンド責任者とテクニカルディレクターを兼務し、2021年4月よりアプリボットの執行役員に就任。



◆やりたいことを求めて、取捨選択を決意した学生時代

ーーー学生時代の皓程さんについて教えてください。

 高校生のとき、夏休みにアメリカへホームステイに行ったのですが、そのときにアメリカの文化や生活環境にすごく惹かれ「自分も英語を勉強して、将来アメリカに留学したい」と強く思いました。ただ、当時は部活に夢中で全然勉強しておらず、成績も後ろから数えたほうが早いくらいだったのですが、部活を辞めて真剣に学業に専念し始めて半年ほどで成績が学年一位になりました。英語については、もともと日本語だけでなく上海語の知識もあり、英語が三つめの言語だったので習得が早かったのかもしれません。とはいえ、めちゃくちゃ勉強した記憶があります。部活を辞めて勉学に励むという取捨選択をしたので、勉強に熱意を振り切らなければという思いもありました。

 高校は進学校ということもあり、偏差値の高い大学への入学を狙い浪人もしたのですが、先に現役で大学入学した人たちと交流したときに「大学入学したは良いものの、やりたいことが見つからない」という話をたくさん聞いて。偏差値だけで大学を決め、入学したその先に何がしたいのかまで決めていた訳ではなく、ただお酒を飲んだりサークルで遊んでばかり...という話を聞いたとき、自分も同じ状況になってしまうかもしれないと思いました。そんな時に、ふと小学校の卒業アルバムを開いたら、将来の夢に「ゲームクリエイター」と書いてあったんです。ゲームは子供のことからずっと好きで、ゲームがつくれたらきっと面白いのかも、と思い、浪人時の12月に理転をしました。


ーーーえ!12月ということは、大学入試が始まるタイミングですよね・・・?

 急すぎてびっくりですよね...(笑)

 ゲームをつくりたくて、両親に専門学校へ入学したいと相談したら、「大学入学を目指していたのに、いきなりどういうことだ」とかなり怒られました。その後両親と色々話した結果「理系の大学へ入学してゲームづくりを学ぶのであれば」と認めてもらい、結果理転をすることになりました。


◆全力で取り組むことで、どんなことも楽しくなる

ーーー大学ではどんなことを勉強されていたのでしょう?

 大学では主にシェーダーやKinect、XNAなどを組み合わせた3D技術を研究していました。ただ、一時期あまりうまく行かず悩んでいた時期があって...。例えば、授業で演習が90分あると自分は大体10分くらいで終わってしまうんです。授業で教わるレベルが物足りないなと感じてしまい、「このまま授業を受けてゲームをつくれるようになれるのか?」と、少し不安になっていました。

 その物足りなさや不安を埋めるために(?)、当時はネトゲ(オンラインゲーム)に熱中していました。ゲームクリエイターになりたいという向上心や熱量を勉強に注いでも自信が持てず、ネトゲに注がれていったのだと思います。とはいえ、就活をせずにネトゲに夢中になってしまい、自分でもどこかで切を付けなければという思いがあり「ギルド同士の対抗トーナメントで一位を獲って引退しよう」と決め、結果一位になって、ネトゲを卒業しました(笑)。

 結局、何でも頑張っていると次第に楽しくなってくるんです。目標を達成した時の達成感も味わえますし、逆に中途半端にやるのが一番辛いと思っているので、何か目標を決めて没頭することが大事だと思っています。


◆サイバーエージェントとの出会い

ーーー皓程さんがサイバーエージェント(以下CA)に入社したきっかけを教えてください。

 自分が就活していた2015年頃はスマホゲーム全盛期で、スマホゲーム開発企業に就職できたらいいなとぼんやり思っていました。そもそも就活に対して積極的に取り組んでいなかったのですが、CA主催のプログラミングコンテスト採用にたまたま応募し、そこで内定をもらいそのまま入社を決めました。コンテストで出会ったメンターの人たちがとても親切で、自分と年齢が近い人たちが活躍している印象があり、若いうちから挑戦できそうな点が魅力に感じました。

 いま思えば、大学も一校しか受けていないし、就活も一社しか受けていませんね...。割と決断することに悩むことがないかもしれません。それよりも、入ってから何をするかの方が大事だと思っています。

 あとは、自分の性格的にベンチャー企業の方が合っていると思っていました(笑)。自分は集団行動がすごく苦手で、みんなと絶対違う道を行きたがるんです。かつ、思ったことを先生や目上の方にも忖度なく言ってしまうタイプだったので、いま思うとCAの社風は自分に合っていると思います(笑)。


ーーー当時はどんな新卒でしたか?

 入社一年目のとき、AmebaGames(後のQualiArts)に配属されました。僕が入ったチームは開発が終盤に差し掛かっており、未経験の新卒二人を手厚く育てる余裕もなかったため、最初の一ヶ月はタスクも振られず同期の活躍などを耳にしてかなり焦っていた記憶があります。その中でどうにか成果を出そうとプロジェクトのコードリーディングを続けながら、土日は全て技術の勉強の時間に使っていました。その結果、徐々にメンバーの信頼を積み上げることができて、リリースに向けてログの実装やゲーム内のお知らせなど周辺の細かいタスクを任せてもらえるようになっていました。


◆ゲーム開発を通じて感じた、技術的な成長実感と壁

ーーーキャリアの転機となった出来事はありますか?

 2016年の春ごろに「ボーイフレンド(仮)きらめき・ノート」の新規開発チームに異動しました。このタイミングで、SGEで「ヒダッカソン」という全エンジニアがAPI開発の速度と正確性を競い合う大会が開催されました。同期と比較して埋もれ気味だったため、ここでしっかり成果を出して注目された方が、今後より難易度の高い仕事を任せてもらえるのではと思い、かなり気合を入れて準備をして参加しました。その結果、幸運にも当日の結果発表で一位に。それをきっかけに周りからの期待値も一気に上がったようで、上記のタイトルでは中心的な機能の開発から負荷試験やライブラリの選定など、幅広く任せてもらえました。

 ただ、半年経ったころから次第に先輩社員の方と設計方針などで衝突することが増えてきました。思い返すとエンジニア歴一年程度で視野が狭く、技術書や一部のベストプラクティスなどを盲信してしまっていたと思います。ゲームのドメインやプロダクト視点で、どんなメリットと副作用があるかを考えたうえで提案できていなかったと反省点が多々ありますが、当時はかなりストレスを感じていました。またリリース後に想像よりユーザーが集まらず、負荷対策した成果がなかなか実感できなかったこともあり、より高負荷なシステムかつ裁量が高い環境でスキルアップしたいという気持ちが強くなり、当時立ち上がったばかりのAJAに異動しました。


◆アドテク領域から、ゲームへ再挑戦

ーーーAJAに異動後、またゲーム事業へ戻ろうと思ったきっかけを教えてください。

 AJAではリーダーとテックリードを任され、多くのプロダクトに関わらせてもらい技術的な知見も広がりました。そして、「ゲームの開発でこれらを活用したらより高いクオリティのプロダクトがつくれるんじゃないか」という気持ちが次第に湧いてくるようになり、また同時期に全世界配信予定の大規模なタイトルの開発が始まりそうという情報を耳にし、これほどの大規模なタイトルなら負荷対策などの知見をいかして貢献できそうだと感じ、2019年にアプリボットに異動しました。


ーーーアプリボットでの業務内容を教えてください。

 アプリボットに異動後、最初に任せてもらったのが「データ分析基盤」の開発でした。アドテクのプロダクトでは、数十TBのログを分析できる形に加工して分析や機械学習が盛んに行われていました。一方、ゲーム事業では、この領域の知見が薄く様々な課題を抱えていたため、ゼロから設計し3ヶ月程度かけて開発。アプリボットのすべての運用中のプロダクトをその基盤に移行しました。その結果を高く評価してもらい、上記の新規ゲーム開発のバックエンドリーダーとしてチームにジョインすることができました。

 チームにジョインして最初に行ったのが、「Golang」でのゲームの基盤開発。当時のゲーム事業では「PHP」や「Java」、「Node.js」が採用されることが一般的でした。しかし、CA全体ではGolangの採用が一般的になってきており、新卒などからの人気も高かったため、今後はGolangを導入した方が採用や育成コストの観点で有利と考えていました。一方で開発言語の方針転換は社内のエンジニアの流動性や既存の言語のほか、基盤のリセットなど短期的に考えると大きなリスクもあったため、社長の浮田に目的と今後のマイルストーンなども含め相談しながら進めました。社内のエンジニアとの日々の対話や社内勉強会などを積極的に開催した結果、特に大きなトラブルもなく導入することができました。

◆執行役員への抜擢と現在

ーーー執行役員に就任されてから、心境の変化などありましたか?

 2020年に開催された「みらい会議」で社内のバックエンド責任者になることが決まり、同時期にアプリボットの経営ボードにも参加し、プロジェクトだけでなくバックエンドチームの人員体制や技術なども見るようになりました。その後、2021年にアプリボットのエンジニア領域の担当執行役員として抜擢してもらいました。

 経営陣と議論する機会が増えてから得た新しい気づきは、意外とエンジニアの現場のリアルな意見や声が求められていることです。チームの一エンジニアだったころは、正直なところ役員はエンジニアの意見をあまり気にしておらず、距離があると感じることがありました。実際はそれらの意見をうまく伝えられていないことが多いことと、役員もそういった声を拾って事業や社内の体制にいかしたいと感じていることに気がつきました。またその逆もしかりで、経営陣の判断がうまく現場に伝わらないこともあります。なので、新規プロダクトの開発チームのテクニカルディレクターとして作業しつつ、現場と経営の両方の視点に立ってそれぞれのニーズや課題感を解決することを意識しています。うまくいかないことも多々ありますが、やれる領域が広くとてもやりがいのある職務だと感じています。


ーーー皓程さんから見てアプリボットはどんな会社ですか?

 アプリボットはプロダクト志向のエンジニアが多い組織だと思います。エンジニアの中には自分が好きな技術で開発することがモチベーションに繋がる人もいると思うのですが、アプリボットのエンジニアの大多数が「プロダクトをより良くするためにどんな技術を使ったらいいか」という考え方を持っているので、個人的にも一緒ものづくりをしやすいチームだなと感じています。

 

ーーーいま、皓程さんが熱量高く取り組んでいることは何ですか?

 昨年の11月に組成したエンジニアボードの体制や開発中タイトルのバックエンド体制の強化に注力しています。全世界に配信するような大規模なタイトルをリリースするとなると、バックエンドに求められる技術や経験値がとても高いものになってくるので、安全にリリースでき、かつその経験を通じてメンバーがより成長してくれたら良いなと思っています。

 また、スマホゲームの開発は年々長期化していて、運用後も長期間にわたりプロジェクトに携わるメンバーも多く、どうしても同じことを長年やっているような感覚に陥ってしまうと思います。メンバーの役割をローテーションしたり、チャレンジできる体制を考えたりなど、エンジニアが技術も含めて成長実感をより感じられる環境をつくっていきたいです。




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